A writeran author ：　Kan Kikuchi / 菊池 寛
Title ： 恩讐の彼方に
A movie director ： Ryo Katanosaka　/　片野坂亮

大分県に実在する青の洞門をモチーフに、原作者である菊池 寛氏が書き上げた短編小説「恩讐の彼方に」の設定を現代版に置き換え映像化した作品。
原作の冒頭で、主人公の市九朗は、些細な事から仕えていた主人を殺し、妾の女との逃亡生活を余儀なくされる。
二人は生活に窮する中で、泥棒や殺人を犯しながら、何とか生きながらえていた。
ある時、自らが営む茶屋に若い旅人夫婦が現れ、彼らの身ぐるみを奪うために、二人を殺してしまう。
そのとき初めて、市九朗は今まで犯した罪の重さにに気付づく。
二人の命、未来、希望、その全てを一瞬にして奪ったのだと。

現代日本で人の命を奪う事は、極刑に値する罪深い行為とされている。
死刑制度や少年法といった日本人の犯罪に対する価値観のあり方が問われている時代に、
償いとは一体何なのか。
人を殺すとは如何に卑劣な行為なのか。
読者は読み終えた後に、題名である「恩讐の彼方に」の意味を考えさせられるだろう。